Discovery Institute News

"Politically Incorrect"シリーズ第一作
Darwinism and Intelligent Design

By: Tom Bethell
Human Events
September 1, 2006

ジョナサン・ウエルズのPolitically Incorrect Guide to Darwinism and Intelligent Design(Regnery)は、ダーウィン進化論の問題についてこれまでに書かれた確かに最上の本である。最上というのは素人を考えてのことだが、専門家にとっても貴重な価値を持つだろうと確信する。提出される証拠や議論が、この問題のあまりにも多岐に及んでいるから、これらすべてに精通 している人は少ないであろう。ウエルズは学術文献を徹底的に引用し、出典については十分な脚注をつけ、明確な言葉の引用文を用い、必要な場合には専門用語を解説している。読者はこの分野の予備知識が特になくても、容易に近づくことができる。

彼が物語る内容は驚くべきものだ。公平な態度で読む読者ならきっと、ダーウィニズム擁護のためのプロパガンダ・キャンペーンがこれほど狂気じみてきたのは、まさにその科学的証拠があまりに弱いからだと結論するだろう。ここには大きな問題がかかっている。これは単なる学問の世界のコップの中の嵐ではない。我々は、より率直なダーウィニストが主張するように、盲目的な偶然の結果 としてここにいるのだろうか? それともこの地上の生命は知的にデザインされたものだろうか?

ウエルズはカリフォルニア大バークリー校から分子・細胞生物学の、イェール大から神学の学位 を受けているが、同じレグネリーからIcons of Evolution (2000)を出版している。これは、進化論の最もよく知られている証拠がほとんどウソだということを指摘したものだ。この新著で彼は再びこの主題に立ち返り、問題をより明確にし、範囲を広げ、最新の事情を説明している。加えて、近年論議が盛んになってきたデザインの問題を論じている。

ダーウィニストは時に、進化を「時間を経ての変化」あるいは「遺伝子頻度の変化」と定義する。確かに生物と遺伝子頻度は時間をかけて変化するのだから、これによってダーウィニストは進化を「事実」だと主張することができる。彼らがひそかに主張しようとするのは、実はもっと野心的なものであり、すべての生命体は偶然とランダムな変異によって生まれたという主張は事実として裏付けられているというものである。しかしこれは立証されたことはない――ほんの毛筋ほども。

ウエルズの論証のいくつかを下に挙げる:――

●化石の事実はダーウィンの一般 的予言に反する。生物のボディー・プランの大きな分岐は化石記録の後期でなく初期に起こっている。
●陸上哺乳類から鯨への化石の連続は「絵に描いたように明らかな中間型」を例証していると言われるが、これら一連の動物のどの一つをとっても「他のどれかの動物の先祖だとはとうてい言えない。」
● ダーウィンは、より高級な動物の胚は、その先祖となる動物の成体の形態を表わしていると考え、これが彼の理論の「最強の」証拠だと考えた。しかしこの主張が依拠するドイツのダーウィニスト、エルンスト・ヘッケルの描いた絵は偽造であったことが判明している。
●異なった種からのDNA配列は、解剖学データに基づく系統樹に符合する樹の形を形成すると言われる。実際は、DNAデータは、解剖学データに合う場合もあれば矛盾する場合もある。DNAによる証拠はダーウィンの問題を解決するのでなく、より悪化させている。
● ダーウィニズムの根幹となる主張は、新しい種がすでに存在する種から分かれて出るというものである。しかしこれは自然状態でも実験室でも観察されたことはない。ある英国の生物学者は2001年に次のように言明している:――

「独立した生命体の最も単純な形態であるバクテリアは、20分から30分で世代交替し18時間後には特定群が形成されるので、この種の研究には理想的なものである。しかし細菌学研究の150年間を通 じて、バクテリアの一つの種が別の種に変わったという証拠は一つもない。最も単純な単細胞生物の間でさえ種の変化の証拠が全くないのだから、より高級な多細胞生物の全領域にわたって進化の証拠がないというのは、驚くに足りない。」

こんなふうに言うことができるだろう――百年前、ダーウィンに疑念を持つ人々はしばしば、サルと人間の間の「ミッシング・リンク」に訴えた。これは他のリンクの存在は確認されているという前提であった。現在、最も新しい研究によって、いかなるリンクの実在も疑われているのである。

「進化のsmoking gun(確実な証拠)はいまだ失われたままである」とウエルズは結論付ける。

彼はほんの10年ほど前に始まったインテリジェント・デザイン運動の的確な説明をしてくれる。IDは聖書に基づくものでもなく、(必ずしも)神の存在証明でもなく、無知の代名詞でもない。「我々が何かの原因を知らなければ、それはデザインされたものだということにはならない。」我々がデザインを推論するのは証拠に基づいてのことである。そして自然界の特徴の多くは、ダーウィニズムの盲目的な、無計画(無方向)的な過程によってでなく、知的な原因によって最もうまく説明されるのである。

進化論とデザイン理論の間の論争は、実験的な証拠によって解決することができる。例えば、分子生物学者のDouglas Axeは最近、DNA配列がランダムに変えられるとタンパク質の機能が失われることを示した。ところでもし突然変異と選択が、ダーウィニズムが主張するような創造力を持つのなら、ランダムに変えられた配列も何らかの機能を保持しているはずである。

私は強くこの本を推薦する。この主題についてすでに精通 している人々も、かなり多くの新しい事実を学ぶであろう。そしてそのすべてが、生命はデザインであって偶然ではないということを示唆するものであることを学ぶであろう。

(訳者注――Politically (In)correctの意味については、「IDをめぐる論争」欄の論文「イデオロギー化した進化論」を参照されたい。)

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