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どこかで聞いたような話をもうひとついかが?

ENV
February 3, 2012

そこでこの天文学者はあるバーに入っていき、こう言う、「これは太陽系外惑星研究の聖杯だぜ…」あとは読者がご自分で、このジョークの続きを語ることができる。

聖杯は希少で貴重なものということになっている。しかし最近では、一カ月もしないうちに、科学メディアが息せき切って、生物の存在が仮説的に可能な、どこかの恒星の「生命可能ゾーン」に新しい惑星が発見された、と報告する。もちろん生命が現実にそこに、またどこにでもいる、確かな証拠が我々の惑星以外にあるわけではない。

今月分の、新発見された太陽系外惑星は、GJ667Ccというロマンチックな名前をもっていて、地球の4.5倍の質量 をもち(つまり“スーパーアース”)、ここからほんの22光年のところにある3重の太陽系をなす3つの恒星の1つを廻っているという。これを発見したチームの一人、サンタクルーズ大学のSteven Vogtは、自分の発見に興奮してこう言っている――

ある恒星からちょうどよい距離、つまり、近すぎて水が沸騰してなくなってしまうこともなく、遠すぎて水がすっかり凍ることもない所を廻る惑星を発見したことは、太陽系外惑星研究の聖杯である。それは完全に生命可能ゾーンにある。それについては議論の余地がない。端に引っ掛かっているのでなく、きちんと納まっている。

共同研究者のカーネギー科学研究所のGuillem Anglada-Escudeは、「この惑星は、液体の水の存在の証拠をもつ、そして多分、我々の知っているような生命をもつ、新しい最上の候補である」と言っている。

これまでの「最上の」! 聞いたことがあるのでは? 冷静な見解を求めて私たちは、惑星の生命可能性の専門家、天文学者Guillermo Gonzalezに聞いてみた。彼はこう説明した――

この特定の(恒星)系については重要なポイントが2つある。第1に、この惑星たちが廻っているのはM矮星だということ。M矮星は生命に対してきわめて貧しい環境しか与えない。それらは無軌道な明るさの変動を示し、危険な放射線をもつ強力なフレアを生ずる。M矮星の生命可能ゾーンにある惑星は、かなり急速に回転が落ちてtidally locked(地球の月のように片側しか見せない)状態になり、あらゆる困難が生ずる。


第2に、地球より大きい土地惑星は、いくつかの理由で地球より生命可能性が小さい。例えば、それらは地表の高低差が小さく、乾いた土地をもつ可能性が小さい。

ゴンザレスが現れると、パーティはすべて座が白けてしまうのではないだろうか? GJ667Ccをめぐる興奮は、控え目に言っても時期尚早である。それは大して驚くことではないとはいえ、恥ずかしいことではある。

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