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ジョナサン・ウエルズの新著The Myth of Junk DNA自序(抜粋)

ENV
May 3, 2011

我々のDNAのほんのわずかの部分だけが、タンパク質をコードしているという1970年代の発見を根拠として、当時の一部の有力な生物学者は、我々のDNAの大部分は機能を持たないジャンク(がらくた)なのだと主張するようになった。他の生物学者たちは、タンパク質をコードしないDNAも、機能をもつことがやがて判明するだろうと予言したのだが、我々のDNAの大部分はジャンクだという見方が、生物学者の間で支配的になっていった。

この見方は、見事なばかりに間違っていることが判明した。1990年以来、そして特に2003年の「人間ゲノム解読計画」の完成後、タンパク質をコードしないDNAのもつ様々な機能を確認する、何百という論文が科学文献に現れ始め、今もさらに多くの論文が毎週のように発表されている。

皮肉なことに、タンパク質をコードしないDNAが機能をもつ証拠が、科学文献にあふれ始めて以後も、ダーウィン進化論を弁護する一部の主導的科学者たちは、「ジャンクDNA」こそ彼らの理論の正しさと、インテリジェント・デザインの間違いを証明するものだという主張をさらに強めてきた。2004年以来、Richard Dawkins, Douglas Futuyma, Kenneth Miller, Jerry Coyne, John Aviseといった生物学者は、こうした主旨の本を出版してきた。科学哲学者Philip Kitcherや科学史家Michael Shermerも、同じことをしてきた。かつて「人間ゲノム解読計画」を指揮し、現在は米国立衛生研究所(NIH)の所長であるFrancis Collinsもまた、彼が「ジャンクDNA」を反証するいくつかの科学論文を共著で発表しているにもかかわらず、同様の主張をしている。

これらの著者は「科学」を弁護するのだと言っているが、実は彼らは、証拠を無視し神学的思弁に依存する反科学的神話を推進しているのである。科学のために、今こそこの神話の正体を暴くべき時である。

大部分がジャンクからなり、IDの反証となっているどころか、我々のゲノムは、タンパク質をコードしないDNAが多種多様な機能を果 たす、多次元的な、有機統合されたシステムであることが、ますます明らかになりつつある。間違いなくそれは、IDの証拠を提供するものである。しかし可能なIDの証拠という意味合いを別 にしても、ジャンクDNAという神話の敗退は、ゲノムの神秘へのさらなる探究を刺激することを約束するものだ。どこであろうと証拠の導く方向には従う意欲をもつ科学者にとって、今ほどわくわくする時代はない。

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