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「偽遺伝子」の呼称は改めるべきか

Casey Luskin
January 3, 2011

「偽(疑似)遺伝子」という呼称は「ジャンクDNA」と同様に不適切かもしれない、と権威ある学術出版社John Wiley & Sonsの出版する2010版Encyclopedia of Life Sciencesのpseudogenesの項目は記している。この項目は、Ondrej Podlaha、Jianzhi Zhang (UC Davis)とAnn Arbor(ミシガン大学)の執筆によるもので“Difficulty with the Pseudogene Definition”という付録があり、そこには、多様な機能する偽遺伝子の発見を考えれば、偽遺伝子は機能をもたないジャンクDNAだという標準的な想定は否定されるべきだ、と述べられている――

「偽遺伝子」という術語はもともと、転写 され翻訳されて機能するRNAやタンパク質産物になることのできない、退化したRNAやタンパク質コード配列を指す造語された言葉であった。この定義の鍵は、偽遺伝子は生物学的に機能しないということである。しかし実際には、実験によって無機能性を確証することは事実上、不可能である。観察可能な表現型が、偽遺伝子と考えられているものを除去しても何ら変わりがないないとしても、それは必ずしもその除去が表出効果 をもたないことを意味しない。なぜならその効果は微妙で観察できないこともあるからである。多くの研究者グループが、いわゆる偽遺伝子が意味のある生物学的相互作用に、主として遺伝子制御の上で、潜在的に関与している事例(Tam et al., 2005; Watanabe et al., 2008)を次々に発見している現在、偽遺伝子の定義はますます難しくなっている。このようなコードしないが機能をもつ配列を、偽遺伝子と呼ぶことは適切だろうか? 偽遺伝子の定義の境界がはっきりしなくなったと言えるだろう。(Ondraj Podlaha and Jianzhi Zhang, “Pseudogenes and Their Evolution,” Encyclopedia of Life Sciences (John Wiley & Sons, 2010).)

彼らはさらに、ある特定の「偽遺伝子」がRNAに転写 されない観察事実でさえ、それが機能しないと証明するには十分でない、と説明している――

さらに言えば、「機能する偽遺伝子」のほとんどの例は、偽遺伝子転写 と機能するパラログ遺伝子(遺伝子重複によって生じた類似遺伝子)のmRNAの間のある相互作用を伴うが、偽遺伝子はまた、転写 を必要としないやり方で機能することもわかっている。たとえば、鳥や人間や他の脊椎動物における抗体の多様性を高めるための、遺伝子転換の材料源として役立っている(Ota and Nei, 1995; Balakirev and Ayala, 2003)など。

彼らは「機能する偽遺伝子」という撞着語法を避けるために、機能をもつ偽遺伝子の別 の新しい術語を見出す提案をしている。

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