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BioLogosの化石記録ページが見事にカンブリア爆発を無視

Casey Luskin
October 28, 2010

ウェブサイトBioLogosには「化石記録は何を物語るか」という常設のページがあるが、当然、人はそこを読めば、化石記録から何がわかるかを知ることができると思うだろう。ところが奇妙なことに、このページには「カンブリア爆発」についての記載が全く見当たらない。これはRobert L. Carrollが、カンブリア爆発を「後生動物進化における最も顕著な出来事」と呼んでいるにもかかわらず、である――

後生動物進化における最も顕著な出来事は、カンブリア爆発によって記録されている主要な新しい構造とボディ・プランの劇的な始まりである。5億3000万年前までは、多細胞動物は主として、単純で柔らかい体をもった生物からなっており、その大部分は化石記録から、刺胞動物門(cnidarians)と海綿だったと同定されている。その後1000万年以内に、ほとんどすべての高度な動物門が現れており、そこには棘皮動物、脊索動物、環形動物、腕足綱の動物、軟体動物、それに多くの節足動物が含まれている。このごく短い期間における、体構造の変化と適応の多様性の極端に速いスピードは、現在の動物相内部の種の進化として提起されているものを遥かに超える説明を要求している。(Robert L. Carroll, “Towards a new evolutionary synthesis,”Trends in Ecology and Evolution, Vol. 15(1):27-32(2000))

実はBioLogosの化石記録ページは、生命の歴史を通 じて共通する新しい生命体の爆発のパターンについて全く述べていない。ある動物学の教科書が述べているように、より低い分類群(taxa)もより高い分類群も突如として現れる傾向があり、したがってこれが化石記録のより一般 的な特徴になるという事実を、これは無視するものでもある――

多くの種は、数百万年もほとんど変わらず存続した後、突如として姿を消し、全く違った、しかし関係のある生命形態に取って代わる。のみならず大多数の主要な動物グループは、完成された形で突如として化石記録に登場し、それらの祖先グループからの推移を示す生命形態の化石が発見されたことはない。(C. P. Hickman, L.S. Roberts, and F. M. Hickman, Integrated Principles of Zoology, p.866 (1988, 8th ed.))

だとすると、化石記録は正確なところ何を示しているのか? それは確かに多くの爆発があったことを示すもので、カンブリア紀はおそらくその中で最も劇的な例なのだ。ところがどういうわけか、この出来事とそのパターンが、化石記録が何を示すかを説明すると称するBioLogosのページから、すっぽりと抜け落ちているのである。代わりにBioLogosは、漸次的変化のわずかな孤立した(そして疑わしい)例―-突然の出現という一般 ルールの例外――を強調している。

なぜそのような大胆な省略をするのか? おそらくそれは、International Journal of Developmental Biologyに載った2000年のある論文が説明するように、カンブリア爆発は、導かれないネオ・ダーウィン進化論に深刻な問題を突きつけるからである――

動物進化の主要な進化的推移は、いまだに因果 的に説明されるにとどまっている。…実 際には小進化は、カンブリア爆発の間に起こった驚くべき突然の新種出現の、満足できる説明を提供するものではない。(James Bagufia and Garcia-Fernandez,“Evo-Devo: the Long and Winding Road”International Jounal of Developmental Biology, Vol.47: 705-713(2003))

にもかかわらず、この動物の歴史の最も顕著な出来事を、BioLogosの説明は見事に無視している。

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