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NASAのジェット推進研究所が優秀なプロID職員を処罰

Robert Crowther
April 16, 2010

David Coppedgeは1997年以来、「カッシーニ計画」(土星探査計画)の研究職員だった。2000年、彼はその優秀さを認められ、「チーム指導・組織管理者」という重要な役割を引き受け、2009年にこれを剥奪されるまでこの職にあった。

組織管理者は、200のユニックス・ワークステーション、数個の高性能日付記憶ユニット、ネットワーク装置、その他アメリカ・ヨーロッパにまたがる専門化されたコンピューティング装置を監督する。彼は探査機「カッシーニ」のコンピューターとネットワークの技術面 について幅広い知識をもち、すべての任務操作に深く関わっていた。カペッジは長年にわたって忠実で尊敬されるJPL(Jet Propulsion Laboratory, ジェット推進研究所)の職員として、研究所の見学者を案内し、カッシーニの新知見を、市民や天文学クラブ、学校グループなどで講演して廻るスピーカーとして働いてきた。

ところが今、この模範的な職員がその地位 を降ろされた。なぜか? 彼は何か任務を危険にさらすようなことをしたのか? 否。不適格と判断されたのか? 否。仕事を怠けあぐらをかいていたのか? 否。デイヴィド・カペッジの罪は思想犯、つまり支配するダーウィン進化論の権威に挑戦しようとしたことだった。同僚との会話の中で彼は、進化論とIDを扱ったドキュメンタリー映画を見る気はないか、と訊ねてみたにすぎない。このことのために彼は嫌がらせを受け、左遷されることになった。

インテリジェント・デザイン(ID)は、生命の発展(進化)は何らかの知的原因からくるデザインを反映するものとして説明するのが最上だとする科学的証拠を、主流の生物学、宇宙学、古生物学の研究を援用して、提供するものである。カペッジが勤務時間後に見るようにと配布したDVDは、いかなる宗教的議論も言及も含んではいない。

その1つはUnlocking the Mystery of Life(生命の神秘を解く)で、これは、ちょうどコンピューター・ソフトウェアのようにDNA上にコードされた情報に基づいて、生き生きしたアニメーションによって細胞内のナノテクノロジーを説明しながら、インテリジェント・デザインを論証するものである。

もう1つはThe Privileged Planet(特権的惑星)で、これは現在の宇宙学に基づいて、宇宙は生命が将来あらわれ、宇宙の探索を可能ならしめるように、最初から「ファイン・チューニング」されていたと主張するものである。この映画にはJPLに関係する科学者さえ登場している。

カペッジが、インテリジェント・デザインや生命起源に関連する科学的問題を取り上げるのは、彼の任務上の責任に適合するものと考えたのには、以下のような十分な理由がある――

*カッシーニ計画は、銀河系や恒星や惑星がどのように生じたか、また生命がどのように始まったかを探究する、NASA(米航空宇宙局)とJPLの全体的計画の一部である。NASAが1996年に始まる起源問題プログラムに取りかかったのは、生命起源やその他の銀河系・宇宙の特徴を調査するためであった。
*JPLが「最重要任務」と呼んでいる起源問題の内部にあって、この陸地惑星探査機は、どのようにして生命が、地球とは別 の地球に似た惑星の化学変化で生じた可能性があるかを調べる任務をもつものである。カッシーニ計画は、タイタンやエンケラドス(いずれも土星の衛星)上で生命が始まった可能性をしばしば論じている。
*JPLは常に生命起源について科学者に講演をさせているし、起源問題はJPLで普通 に討論されている。カペッジが共同研究者をこの話題に引きこんだのは全く妥当なことであった。

カペッジ事件は、イデオロギーに基づいた迫害と呼ぶのが正しいであろう――

*JPLが一方では、カペッジがインテリジェント・デザイン的見方について自由に論ずるのを制限しておきながら、他方では、他の職員たちが職場で、IDに対する攻撃を含めて広範囲な話題を取り上げる自由を認めているのは、ダブル・スタンダードというものである。
*カペッジは、彼が他の誰にも、そうした見方を押しつけたという事実がないにもかかわらず、ID支持を表明したかどで処罰された。誰でも彼のIDビデオを見ることに興味がないとわかると、彼はその話題を引き下げた。
*カペッジの上司が彼に嫌がらせを始めるまでは、誰一人として、彼のID議論に腹を立てているらしい様子をカペッジが見て取ったことはなかった。現にカペッジの上司たちは、彼を調査の対象にする前に、DVDを見せつけられたと言って誰かが苦情を申し出た件は一件もなかったことを最終的に認めている。
*アメリカの法的・倫理的文化においては、人は自分を非難する者と対決する権利を認められ、「憲法第6修正条項」がそれを定めている。カペッジは犯罪調査の対象になったわけではないのに、注目すべきは、JPLが、彼の同僚の中の誰がDVDを勧められたことに苦情を唱えたのかを、彼に知らせることを拒否したこと、そしてこの名を明かされない同僚たちが訴え出たとされる件について十分な情報を与えないために、彼が反論する機会さえ与えられていないことである。JPLが、カペッジのために迷惑を受けたことになっている人たちについて詳細を明かすことを拒否したことは、JPLの「調査」の公平さと信ぴょう性に深刻な疑念を起こさせる。はっきり言えば、JPLがその調査を秘密の衣に包もうと努力しているということは、調査官が面 談した人々のコメントを捻じ曲げて、あらかじめ決められていた彼らの結論を正当化したということであろう。

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