The Boston Globe

ジェファーソンのインテリジェント・デザイン支持

Stephen C. Meyer
July 15, 2009

公立学校での進化の教え方をめぐる論争で、トマス・ジェファーソンの「政教分離」の要求がこれまで何度となく引用された。多くの人々が、ダーウィン進化論の疑念のある代替理論であるインテリジェント・デザインは紛れもない宗教的な思想だから、したがってこの憲法の下では議論することはできないと論じている。ジェファーソンの分離の原則をもち出して、多くのID批判者は、この幻の「建国の父」は彼らに同意するだろうと考えている。

果たしてそうだろうか? あまりにも長い間、ジェファーソンの幻の思想が、公的な場所で議論するには不愉快であるために無視されてきた――すなわち彼のインテリジェント・デザイン支持である。

1823年、唯物論的な進化の考え方がすでに広く行われていたころ、ジェファーソンはジョン・アダムズに手紙を書き、自然界のデザインの科学的証拠は明らかであると主張した――「私は(啓示に訴えることなしに)、我々が宇宙を、個別 的にあるいは全体的に眺め渡したとき、人間精神がデザインと完全無欠な技量 と無限の能力を、その構成のあらゆる小部分(atom)に認めこれを感じないでいることは不可能だと考えます。」彼がこの見解をもつにいたったのは経験的な根拠によるものであり、宗教的な根拠によるものではなかった。

天体から生命をもつ人間や動物の体まで、あらゆるものをよく観察し考え、彼はこう論じた――「繰り返しますが、人間の精神がすべてこういったものの中に、一つの究極の原因に行きつく、デザイン、因果 関係、すべてのものを物質と運動からつくる工作者(fabricator)を認めないことは不可能と考えます。」

ジェファーソンが「究極の原因」「すべてのものの工作者」と呼んだものは、また、生物の無限に多様な形態と、人間の明らかに特別 の能力を「デザイン」したものでもあった。その上、「自然の神」の証拠はすべての人間が知ることのできる開かれたものであり、宗教的権威に特別 に訴える必要のないものであったから、ジェファーソンは個人の自由の理性における根拠がそこにあると信じていた。そこから彼の「独立宣言は」、人間は「一定の譲ることのできない権利を創造者から与えられている」と主張しているのである。

もちろん、ジェファーソンの考えはダーウィンの『種の起源』より前に書かれており、現在では科学的に古い考え方だと思っている人が多いだろう。しかしジェファーソンは、ダーウィンが予想もできなかった現代の科学的諸発見によって、正しく考えていたことが明らかになっている。例えば1953年、ワトソンとクリックがDNA分子の構造を明らかにしたとき、彼らは驚くべき発見をしたのである。DNAの構造は、4文字からなる暗号の形で情報を蓄積することができるようになっている。ヌクレオチド塩基と呼ばれる化学物質の正確に配列された紐が、組み立ての指令すなわち情報を蓄えかつ伝達し、細胞が生きていくために必要な、肝要なタンパク質分子と機械を作り出している。フランシス・クリックは後に、彼の有名な「配列仮説」によってこの考えを発展させたが、それによればDNAの化学構成要素が、書かれた言語やコンピューター・コードの記号のように機能しているのである。ビル・ゲイツが言ったように、「DNAはコンピューター・プログラムに似ているが、我々が作り出したいかなるソフトウエアよりも、ずっとはるかに進んだものである。」

この発見は、ダーウィンが決して問いかけることも、ましてや解くこともできなかった長年の科学の謎――いかにして最初の地上の生命が生まれたのかという謎――を切迫した問題にした。これまで導かれない化学進化のいかなる理論も、地上の最初の生きた細胞を作るのに必要な、DNAのもつデジタル情報の起源を説明していない。しかし現代の科学者でインテリジェント・デザインを主張する人たちは、単に、自然的過程が細胞の中の情報の起源を説明できないからという理由でそれを主張しているのではない。そうではなく、彼らがデザインを主張するのは、こうした特徴をもつシステムは常に必ず、知的な原因から生ずることがわかっているからである。

DNAはソフトウェアのプログラムのように機能する。我々は、ソフトウェアはプログラマーから来ることを知っている。情報は、それが神聖文字として刻まれたものであろうと、本に書かれたものであろうと、電波信号に暗号化されたものであろうと、常に知的な出所から生ずるものである。したがってDNAにおけるデジタルコードの発見は、DNAの情報もまたある知的な出所をもつものであると結論する、強力な科学的理由を提供するものである。

デザインとは生物学的データからの推論であって、宗教的権威からの演繹ではない。ジェファーソンはまさにそれを言っているのであって、彼の政治思想もそこに根拠づけられたのであった。彼が現在を予知していたように「自然の神」と呼んだものの証拠は、かつてなかったほどに強力なものになっている。一人ひとりの「譲ることのできない権利」の保護を保証する我々の国家の存在は、ジェファーソンのインテリジェント・デザインへの信念のもたらしたものの一つと考えてよいのである。

(スティーヴン・マイヤーはディスカヴァリー研究所「科学と文化センター」所長、近著に、Signature in the Cell: DNA and the Evidence for Intelligent Design)

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