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映画『追放』にヒステリックになる人々

By: Phyllis Schlafly
www.wnd.com
May 2. 2008

ベン・スタインはComedy Centralの俳優として多くの人々に知られている。しかし彼の最近の映画“Expelled”の最も面 白い部分は、スタインの気の利いたせりふではなくて、これを見ないように人々を説得しようとするリベラル派のヒステリックなやり方である。

スタインの敵対者たちは、この映画の何にでも反論しようとするがうまくいかない。彼らはただ、これを嘲笑する言葉を考え出し、何とか消えてなくなって欲しいと願っている。しかしそれはなくならない。この映画を「恥ずべきもの」と評した「サイエンティフィック・アメリカン」でさえ、これを無視することはできないことを認めている。

映画の内容は、ダーウィニズムを批判したり、その対案であるインテリジェント・デザインと呼ばれる理論を論じたりする科学者が、追放され、解雇され、テニュアを拒否され、ブラックリストに載せられてひどく弾劾されたりする実態を、暴いたものである。学問の自由は、この問題にだけは及んでいない。

スタイン批判者たちのメッセージは、大声で明瞭に聞こえてくる。彼らは誰にでも、ダーウィン正統主義を疑ったり、IDが生命起源の説明であるかもしれぬ ことを言って欲しくないのである。

映画の中で自分自身のナレーターをつとめるスタインは、このことに感情も示さず表情も変えない。彼は観客に、ダーウィニズムがペテンであるとか、神が世界を創ったとか、何か不明のインテリジェント・デザインが地球上の生命を始動させたかもしれないといったことさえ、言おうとしない。

スタインはただ、大学、政府、法廷、研究基金財団、メディアなどの不寛容と、インテリジェント・デザインを口にするのを抑圧しようとする彼らの決意を、示して見せるだけである。

この映画の提起する唯一の問題は、なぜ、いったいなぜ、これほどの計画的な、一貫した、広範な、復讐的な努力が、独断的ダーウィニズムへのすべての批判と、生命起源の代替理論の論議を、沈黙させることに費やされるのかということである。

リベラル派が特に動揺するのは、この映画で、「進化」というより「ダーウィニズム」が、批判から護らなければならない神聖な言葉であることがはっきりしたからである。しかしこの意味上の選択には大きな意味がある。なぜならダーウィニズムはダーウィン自身の書いたものによって簡単に定義されるが、進化という言葉は異なった、ときには正反対の意味にさえ定義されるからである。

この映画の真にこっけいな部分は、ベストセラー『神は妄想である』によって世界の筆頭無神論者となった英国人リチャード・ドーキンズへの、スタインのインタビューである。ドーキンズは、生命は古代の水溜りの中で、おそらく稲妻にうたれた後、ただ一度だけ生まれ、そこから進化したという説の先導的な信奉者である。

進化の問題は別にして、そもそも生命はどのように始まったのですか? このスタインの質問を受けてドーキンズはついに、生命は、別 の惑星のより高度に発達した存在がここにやってきて後、地球上で進化した可能性はあると言った。

宇宙からの異星人というのはSFの題材ではないのか? ではどうしてよその惑星のエイリアンは創られたのか? ドーキンズによれば、生命は単に他の惑星で自然に進化しただけである――もちろん神なしに。

スタインはこの映画の材料集めのために二年間、世界を旅して廻った。彼は、ダーウィン説を疑ったために仕返しを受けたと証言する、何十人という科学者や大学人にインタビューした。

その一人はリチャード・スターンバーグ博士で、彼はインテリジェント・デザインに触れた査読済みのある論文を雑誌に載せたというので、名望あるスミソニアン研究所の職を失った生物学者である。反IDの大学方針の犠牲者になったと証言する他の大学人の中には、アイオワ州立大学のテニュアを拒否された天文学者ギエルモ・ゴンザレス、またジョージ・メイソン大学の教授職を失ったキャロライン・クロッカーがいる。

スタインはあえて、ナチスドイツの死の収容所で取ったフィルムを、ヒトラーと彼のよく知られた残虐行為への、ダーウィンのかなりの影響を説明するインタビューの背景に用いている。ダーウィンとヒトラーの関係はスタインの発見ではない。ヒトラーの政治的世界観と、人命の神聖さを認めないことへのダーウィンの影響は、標準的なヒトラーの伝記で認められている事実である。

スタインはまた、いかにダーウィン理論が、アメリカが最も隠したがる時代の一つ、20世紀初めの優生学に狂った時代に、影響を与えたかに触れている。何千というアメリカ人が、肉体的・精神的に不適応者であるとして、法的に断種・不妊手術を施された。

ダーウィン理論を根拠とする命令としての断種は、合衆国最高裁でさえ認められ、オリヴァー・ウェンデル・ホームズ判事は、「白痴が三代も続けばもうけっこうだ」という有名な言葉を残した。スタインはまた、マーガレット・サンガーが、劣った人種と彼女の信じた人々が除かれることを望んだ、優生学者であったことを思い出させている。

スタインのメッセージは、探究の自由への攻撃は、反科学、反アメリカ、反すべての学問概念だということである。こうした現状のこのドラマ化は、一般 大衆を、そして学者世界をさえ動かして、異なった見解に対する、この異常な不寛容に立ち向かわせるだろう。

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