Discovery Institute News

カンザス州はいったいどうしたのか?

By: David Klinghoffer
National Review
August 3, 2006

州の教育委員会選挙は、通常、あまり全国的なメディアの注目の対象とはならない。しかし火曜日に行われたカンザス州の、ダーウィンを争点とする教育委員会の予備選挙は例外であった。

ダーウィニズムは疑問の余地のない教義として教えられることになるのか? それが選挙民の決定する問題であった。カンザス州ではどうやらそうなるようだ。

カンザス州は、ネオダーウィニズムに関する有利・不利な証拠を公平に教え、学生が進化論を「批判分析」的に学ぶよう要求する生物カリキュラムを採り入れた、5つの州の一つであった。ダーウィン主導者たちは、教育委員会の過半数を覆して、この要求を取り消すために懸命の努力をした。火曜日、彼らはこの最初の目的に成功し、次の目標でもこれがつづくことだろう。

現行の「論争の対象」となっているカンザス州理科教育基準は、きわめて明瞭に、インテリジェント・デザインを学生に教えることを要求するものではない。それどころか委員会は、「我々はまた、この理科カリキュラム基準はインテリジェント・デザインを含むものでないことを強調する」と言っている。

これ以上明瞭な言い方はないのではなかろうか? ところが「カンザス市民理科協会」のメンバーはまさにその逆、すなわち、カンザス州理科基準はIDを教えることを要求していると宣伝した。結局それが有権者を説得する、いや騙すことになったのだ。

これは教育委員会のリベラルな候補者を擁立するキャンペーンの一部であり、他にも虚偽が含まれている。例えばダーウィン派は、カンザス州の教職員に対して、2005年のペンシルヴェニア州「キッツミラー対ドーヴァー」判決を根拠に訴えられる恐れがあるなどと吹き込んでいる。実際は、IDを教えることを要求していないカンザス州のカリキュラムにとって、キッツミラーは無関係である。

委員会多数派に反対する者たちはまた、この理科基準は(ウイチタ・イーグル紙の社説の言葉を借りて)「反科学陰謀組織」による「科学バッシング」を意味するものだと言っている。とんでもない話だ。カンザス州の基準はただ、若い学生たちが、権威ある科学者たちによる主流の見方を、全領域にわたって見通 せるようにすべきだと言っているにすぎない。

反対意見でも最も愚劣なのは、「カンザス州の基準は子供たちを傷つけるものだ、注意せよ」というものであった。政治活動集団である「カンザス教育連盟」が選挙前哨戦で主張していたところによると、「子供たち、特に貧困層の子供たちが経済的自立を経験し、納税市民になるための最上の方法は質の高い教育を受けさせること」なのだそうだ。この連盟によると、科学的証拠を批判分析するように教えることは、「質の高い教育」と矛盾するらしい。

科学の問題の両面を理解する能力を身につけるのは、誰にとっても価値のある知的な経験だと思うのが普通 であろう。

不幸なことに、こうした脅しによる戦略が、カンザス州教育委員会の鍵となるメンバーを落選させてしまった。まあこれは驚くべきことではないかもしれない。同じようなことがオハイオ州でも起こったのだから。

この二月、ダーウィニストたちは、オハイオ州の理科基準にある「進化論の諸問題を、いかに科学者たちが調査し批判分析しているかについて述べよ」という履修者に対する課題を削除するように、州教育委員会に圧力をかけ成功した。オハイオ州ではまた、メディアが、彼らのいう「科学的文盲」を助長するような方針から生ずる「国家の将来」への危険性を警告した。

ある種の正統的ダーウィニストたちの独断専制と不正直には、全く唖然とするものがある。にもかかわらず、彼らはオハイオで成功し、今度はまたカンザスで勝利して、更に別 のところでも勝利する可能性がある。結局、これによって学生たちは、科学的な問題ばかりでなく、重要な道徳的意味をも持つこの問題について、暗闇に置かれたままの状況が今後も続くことになるだろう。

(デイヴィッド・クリングホファーはディスカヴァリー・インスティテュート上級研究員、近著にWhy the Jews Rejected Jesus: The Turning Point in Western Historyがある。)

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