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Philip Skell博士のサウスカロライナ州教育監督委員会への公開書簡

Philip Skell
January 23, 2006

(編集スタッフ――以下は、理科教育基準を、進化論批判を含む開かれたものへと改正しようとしているサウスカロライナ州に対して、科学ナショナル・アカデミー会員、ペンシルヴェニア州立大学化学(名誉)教授、フィリップ・スケル博士の公開書簡である。)

Jan. 20, 2006
Dr. Joanne Anderson
委員長
サウスカロライナ州教育監督委員会

親愛なるアンダーソン博士、

サウスカロライナ州教育監督委員会では、現在、同州の理科基準の見直しを検討中であると伺っております。私は科学ナショナル・アカデミーの会員として、学生は、現代進化論の有利な証拠とともに、これに対する科学的批判をも学べるようにすべきだという考え方に対して、私の強い支持を表明するためにこの手紙を差し上げることにしました。

進化論をいかに教えるかという問題は、あまりにもしばしば両極端の声によって支配されてきました。一方では多くの宗教活動家が、聖書に基づいた創造の思想を教えるべきで、進化論は理科カリキュラムから完全に除去されるべきだと主張しています。他方では、利害のからむ多くのダーウィン主義生物学者が、本当の問題を体よく隠し、学生がそれについての真正な科学的批判を学べないようにする、理想化された理論を学生に与えようとしています。

これら両極はともに間違っています。進化論は重要な理論で、学生はこれについて学ぶ必要があります。しかし科学雑誌は今、進化論についての多くの科学的問題や批判を掲載しており、学生たちはこういったことについても知る必要があります。

私の申し上げている科学的批判の多くは、化学や私自身の分野である生化学を含めて、さまざまの専門分野の科学者たちによく知られています。私の同僚の科学者の中には、進化論についての諸問題の存在を一般 大衆に対して認めることを、とても嫌がっている人々がいることに、私は以前から気がついています。彼らは、生物の起源についての厳密にダーウィン的見方に対して、ほとんど宗教的な熱意を示すのです。

ダーウィン進化論は、生物の遠い過去についての面 白い理論です。にもかかわらず、生物の歴史(ほとんど化石の証拠に基づくもの)の問題を扱わない他の科学分野に対しては、それは現実的な影響をほとんど与えていません。現代生物学は、生命体からとった組織を、新しい方法と機器を用いて調べることに専念しています。過去一世紀の生物学や医学の偉大な発見の何一つとして、ダーウィン進化論の導きによってなされたものはありません。それは何の役にも立ちませんでした。

ついでながら、もしダーウィンが今日生きていて、19世紀半ばの、まだ細胞が膜に包まれたゼラチンの粒だと一般 に信じられていた頃のそれとは違って、現在の細胞生物学の知識の状態を知っていたとしたら、どんなことを書いただろうかと問うてみることができます。一つの代表例として、シカゴ大学の生物学者James A. Shapiro教授の書いていることを、読まれるとよいと思います。(www.bostonreview.net/br22.1/shapiro.html

それをまじめに受け取る科学者にとって、ダーウィン進化論は検証可能な科学的仮説としてでなく、哲学的な信仰体系として機能してきました。この理論のほとんど宗教的な機能こそ、貴方が経験されているはずの、教室でネオ・ダーウィニズムを批判的に分析することに猛反対するある科学者たちの、あの極端な言辞の背後にあるものだと私は考えます。それはまた、多くの科学者たちが個人的には、たとえば私のような他の科学者に対しては支持する気のない理論を、公的には容認する発言をする理由でもあります。

私の判断するところでは、このような事態がずっと続いてきた理由は主として、あまりにも多くの科学者が、科学者間で哲学的正統派となってしまったものに挑戦することを恐れていたからであります。幸いなことに、今多くの科学者がネオ・ダーウィニズムの証拠を、科学雑誌上で、以前よりも堂々と批判的に吟味するようになったので、それは変わりつつあります。サウスカロライナ州の学生が、これらの科学的批判を学ぶことができれば、彼らが自らネオ・ダーウィニズムへの支持と挑戦の両方の証拠を批判的に分析してみるときに、大きな助けになるでありましょう。

知的自由は、科学の方法にとって基本的なものであります。創造的・論理的・批判的に考える訓練をすることは、若い科学者が受けることのできる最も重要な訓練です。従って学生たちが、ネオ・ダーウィニズムを是とし非とする両方の証拠を注意深く調べてみるように仕向けることは、彼らが今日の科学論争を理解するためばかりでなく、すぐれた科学的研究をするための準備としても役立つでありましょう。

私は、学生たちのために、ネオ・ダーウィニズムについて科学者の間で今行われている議論について、もっと十分な知識が得られるように図られる貴下の努力に、深い敬意を表するものです。

敬具
                         
フィリップ・S・スケル教授
                         科学ナショナル・アカデミー会員
                         化学Evan Pugh(名誉)教授  

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