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生命起源の「神秘」を認めるニュース・ソースが増える

Casey Luskin
February 28, 2012

主流メディアが、生命の起源を神秘だと認めることはめったにないことだ。しかし今それが起こっている。
“Origin-of-Life Theorists Fail to Explain Chemical Signatures in the Cell”(生命起源理論家は細胞の化学的署名を説明できない)という最近の論説(リンク)で、我々は、Natureニュースの「生命がいかに始まったかは自然の永続的な神秘の1つである」という譲歩に注目した。今、MSNBCに載ったLiveScienceの論説(リンク)“The mystery of how Earth’s primordial soup came to life”(地球の原始スープがどうして生命を得たかという謎)が、「子を産めない分子がどうして生きた、変わっていく生物になれたのか? それは究極の謎である」と問うている。

しかし当然だが、同じメディア・ソースが、実は、どうして自然の化学的手段によって生命が生まれたかを我々は理解できていない、という印象を与えまいとしている――

種が時間をかけて進化したと信じられているように、生命の基礎をなす個々の分子もまた、おそらく自然選択の原理で発達した、と科学者は言っている。

いかにも簡単で単純なように聞こえる。しかし科学者は現実にどこまで説明しているのだろうか? この論説によれば、科学者たちは原始スープの中の2個の化合物が、紫外線による破壊を免れたかもしれないと説明している――

結合して属性を獲得することのできた分子は、より長く生きて増殖したであろう。一方、より簡単に破壊された分子は消え去ったであろう。


1つの例は、グルタミン酸と2個のグリシン分子の化合物である。

単独では、これらの分子は紫外線によって簡単に破壊される。しかし結合するとこれらは非常に安定している。

なるほど、この複合物は紫外線による破壊を避けるように自然選択されたかもしれない。しかし問題は、そもそもどうやってグリシンを作り出すかである。生命起源理論家は、初期の地球の現実の条件下で、原始スープに必要な有機分子を作り出すことのできる確かなメカニズムが存在すると、いまだに示したことがない(リンク)。

しかし、たとえアミノ酸(や他の有機分子)の原始スープを手に入れたとしても、最初のモノマーをポリマーにつなげる問題が残っている。これは前生命スープのような水の環境の中では起こり得ない。その理由はU.S. National Academy of Sciencesが次のように述べている(リンク)――

水中では、ヌクレオシドを構成要素の糖とヌクレオ塩基から組み立て、ヌクレオチドをヌクレオシドとリン酸塩から組み立て、そしてオリゴヌクレオチドをヌクレオチドから組み立てることは、すべて熱力学的に流れを遡ることである。2つのアミノ酸が水中で自然にくっつくことはない。むしろ、ありそうなどんな濃度のもとでも、その反対の反応が熱力学的には考えられる。ポリペプチド鎖は水中で自然に加水分解し、その構成要素であるアミノ酸を産出する。

しかし、原始スープからどうにかしてポリペプチド鎖を取り出せたと仮定しても、アミノ酸に正しい順序を取らせて、何か機能するものを作り出す方法はない。この論説の次の説明は、明らかに問題を解決するものではない――

「もしアミノ酸400個の正確な配列からなるレセプターを進化させようと思うなら、それを全部同時にやることは不可能だ。安定したモジュールを用いなければならない」と(ミシガン州立大生理学者)Robert Root-Bernsteinは言っている。


これらのモジュールは、結合によって安定となった複合モジュールである。もし生命(生物)が、最初からなまのモジュールのランダムな結合でなく、これらすでに安定している構成ブロックの結合体から組み立てられたならば、そのプロセスははるかにより効果 的であっただろう。

「文字通りあらゆることを試みることと、限られた数の安定したモジュールで試みることの差は巨大である。それはほとんど不可能なことを、非常にあり得ることに変える」とルート=バーンスタインは言っている。

この議論の問題は、自然選択が複製を要求していることである。しかし我々の知る限り、生物は、多くの部分が揃わない限り、複製することはできない。自然選択がなければ、David Berlinskiが言った「完全に行き当たりばったりの運」に行き詰る。アミノ酸400個のレセプターの「安定したモジュール」すべてが自然に生まれると期待できる何らかの理由がない限り(この論説はいかなる理由も与えていない)、当てにできるのは完全な運(偶然)だけだ。

アミノ酸400個のレセプターを偶然によって作り出す確率は、ゼロである。しかし、かりにそのレセプターがあったとしても、そこから生きた、複製する生物を作り出すためには、それはまだ劇的に不十分だ。生化学者Nick Laneは「スープには生命に肝要なエネルギーを作り出す能力はない」と言っているが、その通 りである。

ここで、現実がどうなっているか確かめておく必要がある――生命起源理論家たちは、どのようにして厖大な数の複雑なタンパク質や諸特徴が、導かれないプロセスによって生じ、自らを組み立て、自己複製する生命体になったかを説明する必要がある。しかし彼らはいまだに、有機分子の不活性の原始スープが、そもそも最初にどうやって生じたかを説明するメカニズムすら求められないで汲々としている。

私は彼らの努力がうまくいくことを願っている。彼らには運が必要だからだ。彼らは、生命がどのように生じたかを説明するところから程遠い所にいる。結局Natureの言ったことは正しかったようだ――「生命がいかに始まったかは自然の永続的な神秘の1つである。」

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