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フランシス・コリンズ、「ジャンクDNA」について態度変更か?

Jonathan M.
March 7, 2011

現在、私はFrancis Collinsの最新著The Language of Life ― DNA and the Revolution in Personalized Medicineを読んでいる。

この本6頁の次のような箇所を読み、ある驚きを覚えたことを告白する――

一般大衆にはほとんど知られていないが、最近10年の諸々の発見は、高校の生物教科書で教えられていたことの多くを完全に覆すものである。もしあなたが、DNA分子には何千という遺伝子が含まれているが、それよりはるかに多くの「ジャンクDNA」が存在すると考えていたのなら、それは考え違いだ。

9頁で彼はゲノムの構成についてコメントし、タンパク質をコードする遺伝子のエキソンとイントロンは、合わせてゲノムの30%ほどになると述べている。しかしここで我々はコリンズの口から予期しなかったことを聞く。遺伝子と遺伝子の間に横たわる、タンパク質をコードしない長いDNA分節について、彼はこう言っている――

しかしこれらの領域は単なる埋め草ではない。それらは、ある一定の組織の発生の、一定の時期にオンになるべきかオフになるべきかを、近くの遺伝子に指令するのに必要な信号の多くを含んでいる。それだけでなく、これら全くタンパク質をコードしない砂漠と言われる領域を住みかとする(hanging out)何千という遺伝子があるかもしれないことを発見しつつある。これらはRNAにコピーされるが、それらRNA分子は決して翻訳されない。その代わりに、それらは何らかの他の重要な機能のために役立っている。

これはあのThe Language of God(邦訳『ゲノムと聖書』)を書いた同じコリンズの言葉だろうか? 前の本では彼は、細胞の中で機能を果 たしている「ジャンクDNA」が数個以上もありうるとするのは「とうてい無理な想定」だと言っていたのである。こうした言葉を、次のような(The Language of Godの)彼の前言と比較してみるがよい――

ダーウィンの理論は、機能に影響を与えない変異(すなわち「ジャンクDNA」の中に見られる変異)は時間と共に着実に蓄積していくと予言する。しかし遺伝子のコードする領域の変異は、あまり頻繁には観察されないだろうと予測する。なぜなら、その変異のほとんどは有害であろうから、そしてそのごく稀なものだけが選択的有利性を与え、進化の過程において保存されるからである。まさにその通 りのことが観察されている。この後者の現象は、遺伝子のコードする領域のごく小さな部分にさえ当てはまる。・・・もし、ある人々が主張するように、これらのゲノムが創造の個々の働きによって創造されたものだとするなら、どうしてこうした特種な特徴が生ずるのだろうか?

「その通りのことが観察される」と言ったのは正しかったか? コリンズは新著293ページでは次のように言う――

人間のゲノムのほんの約1.5%だけが、タンパク質コードに関与していることが判明している。しかしそれは、残りの部分が「ジャンクDNA」だということではない。人間ゲノムについての数々の、我々を興奮させる新しい発見は、我々がこの驚くべき指令書の理解において、自己満足的になってはいけないことを思い知らせている。例えば、最近明らかにされたこととして、タンパク質をコードしないRNA分子という大きな一族がある。これらいわゆるノン・コーディングRNAは、他のRNAが翻訳されるときの効率性の調整を含む、多くの重要な機能を果 たすことができる。さらに、遺伝子がどのように制御されるかについての我々の理解は、DNA分子に埋め込まれた信号とそれに結びつくタンパク質が急速に解き明かされていくにつれて、劇的な修正を迫られつつある。この制御情報のネットワークの複雑さは我々を茫然とさせるほどで、systems biologyと呼ばれることもある、生化学の全く新しい分野を創り出している。(強調引用者)

きっと多くの読者は、コリンズの論調が変わってきたことに驚かれるだろう。もちろん我々は、過去10年の現代ID運動の努力が、どの程度までこの変化に関わっているのか知る由もないが、ID運動が、いわゆる「ジャンクDNA」は結局ジャンクではないのだという考え方を広めてきたのは確かである。その証拠の集積は増大しつづけており、これらタンパク質をコードしない要素について、ある場合にはゲノムの転写 されない部分についてさえ、それらが機能するというますます多くの例が実証されつつある。

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