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ID支持の査読された科学論文が「設計された世界」を論ずる

Casey Luskin
December 26, 2010

IDを支持する査読された科学論文が、International Journal of Design & Nature and Ecodynamics に発表された。著者(代表)は「ダーウィニズムに異論を唱える科学者」リストの署名者で、Oral Roberts University科学・工学部長Dominic Halsmer。タイトルは “The Coherence of an Engineered World”(設計された世界の首尾一貫性)で、この論文は自然界のさまざまな側面 、特に宇宙的微調整の例を挙げながら、自然界が「設計されたもの」であることを論じている。

著者たちが宇宙は設計されていると感ずる1つの理由は、それが数学的・科学的に理解可能であるという事実である――

人間によって設計されたシステムは、安定性、予言可能性、信頼性、透明性、制御可能性、能率性、そして(理想的には)最善性(optimality)という特徴をもっている。これらの特性は、宇宙を構成している自然のシステム全体についても、見られるものである。しかしその設計(engineering)のレベルは、現在の人間の能力のはるかに及ばない、超越的なもののように見える。しかしそうであっても、宇宙の理解可能性と、人間がそれを理解する能力の間には、不思議な符合(match)が存在する。この説明されない符合性は、リヴァース・エンジニアリング活動の前提条件となるものだが、どんな試みも、とうていその足元にも及ばない。にもかかわらず人類は、我々に解明可能な自然界の謎によって、絶えずある潜在する叡智(wisdom)に向かって、ほとんど生徒が教師に導かれるように、導かれていくように見える。実際、宇宙はリヴァース・エンジニアリングが可能であり、また利益をもたらすので、宇宙はそもそもの初めに、人間を頭に置いて設計されたものだという議論を説得力あるものにしている。(D. Halsmer, J. Asper, N. Roman, T. Todd, “The Coherence of an Engineered World,” International Journal of Design & Nature and Ecodynamics, Vol. 4(1):47-65(2009))

宇宙の設計の証拠を示す彼らの主張するもう一つの面 は、そのbiofriendliness(生命に好意的なこと)である。彼らは特に、生命を支える水の特性に焦点を当てている――

水のもつ驚くべき特性は数多い。その非常に高い比熱は、海の温度、生物の温度を、ともに比較的安定した状態に保つ。液体状態では、水の熱伝導率は他の普通 の液体の4倍であり、これによって細胞は効率よく熱を伝えることができる。一方、氷は熱伝導率が弱く、極地近くではこれがよい熱遮蔽材となる。融解潜熱は、アンモニアにだけは劣るが、水をできるだけ液体状態に保ち、0度Cで自然のサーモスタットを創りだす。同様に、あらゆる物質の中で最高の気化潜熱――同じ量 の水を0度Cから100度Cに熱するのに必要なエネルギーの5倍以上になる――は、水蒸気が大気圏に大量 の熱を蓄えることを可能にする。この非常に高い水の気化潜熱はまた、生物の死命を制するものだが、それは体温あるいはそれ以上では、人が熱を発散させる唯一の方法は、汗にしてそれを飛ばすことだからである。


水の驚くべき能力は熱に関するものばかりではない。その高い蒸気圧は大気がより多くの湿気を保つことを可能にし、降雨(量 )を可能にする。水の大きな表面張力は、背の高い植物にとって良好な毛管現象効果 のために必要であり、また土壌がより多くの水分を保つことを可能にする。水の低い粘性は、血液が微小な毛細管を流れることを可能にする。非常によく注目される変則的性質は、水が固体化するときに膨張することで、このおかげで氷は海洋の表面 にとどまって、海底に蓄積することはない。おそらく水の最も重要な特性は、その比類のない溶解能力である。これによって大量 のミネラルが動けない生物に運ばれることができ、血液がそのすべての含有物を含有することができる。それはまたごく穏やかにしか反応せず、それが物質を溶解するときに、有害な反応をしないようになっている。最近の研究の明らかにしたところでは、水は、カタツムリから人間の消化に至るまで、多くの生命システムの効果 的な潤滑材として作用している。単独では、水はこの働きにおいてあまり効果 をもたないが、糖タンパク質のような、ある種の物質を加えると効果 を発する。こうした特性を総計してみると、水は生命にとって理想的な媒材であることがわかる。文字通 り水のすべての性質が、生命を支えるのに適している。地球外知性の探索において、液体の水が一番の必要条件とされるのはもっともなことだ。
このような特性のすべてが、たった3個の原子からなる単純な分子の中に含まれている。エンジニアに課せられた最も困難な仕事の一つは、同時に多数の評価基準を満たすものを作ることである。…こうした評価基準のすべてを1つの単純なデザインによって満たすことは、エンジニアリングの奇跡である。のみならず、このデザインのプロセスは深いところにまで及んでいる。それは、もし強い核力や電子の大きさのような、基本的な物理的特性を変えるようなことをすれば、これら多くの性質が必然的に変わってしまうからである。

著者たちは続いて、生物の最も基本的な元素――水素、炭素、酸素――が、なぜこれほど宇宙に豊富に行きわたっているのかについて考察している――

水素、酸素、炭素は、宇宙における豊富な行きわたり方で、それぞれ1位 、3位、4位をなしている(2位はヘリウム)。その説明は星の内部での融合に関係する。初期の反応は水素原子から始まり、続いて重水素(質量 数2)、トリチウム(質量数3)、アルファ粒子(質量 数4)を生み出すが、安定した質量数5は存在しない。これは重い元素の創造を制限することになり、研究が進むまでは「神の手違い」の一つと考えられていた。現実には、安定した質量 数5が存在しないことによって、より大きな4のジャンプが必要となり、これが炭素(質量 数12)、酸素(質量数16)を創りだす。もしそうでなかったら、反応は質量 数1のステップによって周期表を上昇したであろう(鉄までは、なぜなら鉄以上になると、融合は創りだすというよりエネルギーを必要とするから)。もしこのプロセスが取られたら、酸素も炭素も他の元素と変わらず、特に豊富にはならなかったであろう。

著者たちはここで、この問題についてのフレッド・ホイルの言葉を引用している――「私は、この証拠をよく調べた研究者なら誰でもきっと、核物理学の法則は、それが星の内部で生み出す結果 を考えて、意図的にデザインされたものと推理すると思う。」この論文については、2回に分けて紹介する予定である。

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