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アルフレッド・ウォーレス『生命の世界』出版百年記念:

この自然選択共同発見者は「インテリジェント進化」論者だった

Michael Flannery
December 2, 2010

Alfred Russel Wallaceが、自然選択という現代進化論の仕組みの共同発見者であり、彼が1858年3月上旬、有名なTernateからの手紙をチャールズ・ダーウィンに届けた時のことは誰でも知っているようだ。驚いたダーウィンは、この手紙を受け取ったことが引き金となって、ついに彼のかねてからの説を発表する決心をし、そして進化論の歴史が始まった。それとも、そうでないのか? ダーウィンの名声の輝かしさの陰で忘れられているのは、ウォーレスが彼独自の理論を考案するようになり、それが濃厚なインテリジェント・デザイン色をもつ理論であったという事実である。最初1869年4月に発表して以来、ウォーレスは、「インテリジェント進化論」と呼ぶのが最もふさわしい、ある導かれた、デザインされたことが検証できる、目的をもった共通 祖先の理論を展開し始めた。

ウォーレスはさらにこの考え方を深め、1910年12月2日(百年前の今日)、ロンドンの出版社Chapman and Hallから、彼の40年以上にわたる調査と研究と思索の集大成であるThe World of Life: A Manifestation of Creative Power, Directive Mind and Ultimate Purpose(生命の世界:創造の力、導く意志、究極の目的)を出版した。分子生物学や現代の情報理論の助けもなしにウォーレスは、生物の複雑性の特種な性質を、知的デザインの明らかな、立証可能な証拠と見た。人々のある者は、ウォーレスのそのような主張は一線を越えたもので、異端に与するものだと言ったが、ウォーレスは速やかに反論してこう言った――「私の信念と提案のいくつかがいかに奇妙に、異端的に見えようと、それらは、この問題の事実と諸条件を注意深く調べることによって到達したものであることを強調したい。私がこの点を強調するのは、私の[宇宙論の]前著であるMan’s Place in the Universe――この本World of Lifeはその補遺と考えていただきたい――を批評する多くの人びとが、そこで到達されている結論を、全く意見や想像の問題であるかのように扱い、(彼らの見解と同じく)個人的な好みに基づいたもので、証拠にも論理にも訴えるものでないかのように評したからである。それは私がどの私の著書でも採っている方法ではない。」

驚くことではないが、それでもウォーレスに異端の烙印を与える人々が、当時も存在し今も存在している。だが、それにもかかわらず、彼の伝記を書いたJames Marchantは、1916年の時点で、もっと妥当な位置づけを提唱してこう言っている――「にもかかわらず我々は、彼は大胆だったのではないか、時代より先を行く人だったのではないか、彼の異端的見解は、今はまだ十分に解明されていないある真理を鋭く先取りしているのではないか、と問うてみることができる。」

ウォーレスが、人間の心に特有の性質と生物の複雑さについて提起した諸問題は、今なお我々の問題だが、彼が一世紀前に『生命の世界』で示唆した方向のいくつかに沿って、それらは今、おそらくより明確な答えを与えられている。

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