The Washington Times

NSFの「進化論初期教育プロジェクト」

Casey Luskin
October 9, 2010

国民の税金による、NSF(米国立科学財団、または国立科学振興会)の「進化論初期教育プロジェクト」Evolution Readiness Projectは、「生物がその自然環境に適応しているという観察事実を、ダーウィンの自然選択モデルが、いかに説明するかを低学年の児童に教えること」を目指すもので、これによって彼らが進化論を「信ずる」ようになることを目論むものである。このプロジェクトは様々の学習プランを提供するが、これらは私がこれまでに掲載した記事(パート1〜5、リンク)で批判してきた、このプロジェクト推奨の第一参考資料Life on Earth: The Story of Evolutionと同じく、感心しないものだ。

これまで見てきたように、このプロジェクトは、明確に一方的な進化の見方を推進するものである。いったい、生徒に「ある理論を支持する証拠も支持しない証拠も共に教える」ことを禁じようとする主導的科学教育者たちの意向に従う、客観的な方法による進化論教育とは、どんなものであろうか? 

NSFは、1,990,459ドルにのぼる国民の税金を、ダーウィン進化論の教義通 りだが間違っている新版を、小学4年生が理解できる程度にまで、分かりやすくするプロジェクトに費やしているのである。

私はある晩、地方のスターバック・コーヒー店で、たった2.5ドルのコーヒーと2時間を費やして、教師たちが客観的な方法で高校以前の生徒たちに進化を教えるのに使うことのできる、以下のような学習プランを起草することができた。そのPDF版はここ(リンク)で見ることができる。「ダーウィンの挑戦に応ずる」というタイトルのこの学習プランの序文をここに披露する――

『種の起源』においてダーウィンは、未来の世代の科学者に挑戦し、「公平な結果 は、各問題の双方の立場の事実と主張を、十分に述べ合い、天秤にかけることによってのみ到達できるものである」ことを忘れるなと言った。


主導的な科学教育理論家たちが、学生は、与えられた概念について、これを「支持する証拠と支持しない証拠の弁別 をすること」(*1)を教えられたときに、最も学習効果が上がるという点で合意しているにもかかわらず、多くの現代のダーウィン進化論擁護者は、進化を教えるさいにダーウィンの忠告を無視している。

証拠の「両サイド」を理解し、格闘して自分自身の見解を形成するように学生を仕向ける代わりに、多くのダーウィン擁護者の主たる目標は、「それを支持する証拠」(*3)のみを教えることによって、進化論を「信じる」(*2)ようにさせることにある。彼らは学生が、科学的論争の一方だけを聞いて、同じ見方をするようになることを望んでいる。

科学教育の権威者たちは、科学教育の2つの主たる欠陥について警告している。1つは、科学の専門家の道を選ぶように鼓舞される学生が少なすぎること(*4)。2つ目は、多くのアメリカ人が単に科学を理解しておらず、科学的に文盲であること(*5)。

不幸なことに、進化論の一方的な教育は、科学についてあまり教えず、批判的思考を身につけさせようともせず、科学者になるように刺激を与えるということもない。したがってそれは、今日、科学教育が直面 する最も重要な問題のいくつかを解決する機会を逃している。

進化に関する科学的論争の、両サイドの事実と主張を学生に教えることによって、教師は、科学教育の諸問題を解決する方向に寄与することができる。学生は、科学的証拠についてより多くを学び、科学における批判的思考を向上させ、よりすぐれた科学者になるだろう。ダーウィンは誇りに思うはずである。


[参考文献]
(1)See Jonathan Osborne, “Arguing to Learn in Science: The Role of Collaborative, Critical Discourse,” Science, Vol.328(5977):463-466(April 23, 2010)
(2) See, About the Evolution Readiness Project (「進化論が誕生して150年もたつのに、アメリカ人の10人に4人しかそれを信じていないのは、受け入れがたいことだ!」)
(3) See, Evolution Readiness Project Grant Award (「このプロジェクトは、生物とその環境の相互作用の、コンピューターに基づくモデルを用いるもので、これによって、進化理論とそれを支持する証拠を十分に理解する学習の進歩を促すことができる。」
(4) See National Science Board, “The Science and Engineering Workforce: Realizing America's Potential,”p.7 (August 14, 2003) and National Science Foundation, “An Engineering and Critical Problem of the Science and Engineering Workforce: A Companion to Science and Engineering Indicators 2004”(2004)
(5) 多くの著者がこの問題を認めている。例えば、America's Lab Report: Investigations in High School Science, p.1 (National Research Council, 2006).

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