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まことかウソか?
―反IDの闘士ケン・ミラー博士を知るためのガイド

Casey Luskin
November 6, 2009

ブラウン大学の生物学者Kenneth Miller博士は、自然に人が信用したくなる類の人物である。彼はカリスマ的な人柄で、早口で精力的な楽しい講義をし、その上ソフトボールを指導し乗馬もする。どこから見てもナイスガイだ。きっと誰でも大学時代に覚えがある退屈だったあの教授でなく、ミラー教授のような先生の生物学初級コースを取りたかったと思うだろう。

しかし彼の講義は楽しめるかもしれないが、それはミラー博士の議論や主張が本当に正確で真実であるかどうかには関係がない。ミラー博士をよく知っている人は、彼がIDに対する同じ変わらぬ 反対論を繰り返していること、そして残念ながら、それは議論として弱いだけでなくIDの間違った理解に満ち満ちていることを知っている。

ミラー博士にはこうした多くの間違いを前から伝えてあるのだが、不幸なことに彼は自分の考えを押し通 し続けている。この連続ガイドの目的は、ケン・ミラーの反ID講義の主張の理解を助け、手引きし、批判的に評価することである。

講義からあなたがどんな考えをもつようになったにせよ、目を眩まされてはならない。自分で事実を確かめ、ミラー博士にIDについて真理を語るよう挑戦しなければならない。

ケン・ミラーは自分のことをカトリック神学的進化論者だと称し、ある批評家によれば、彼は進化と宗教のどんな矛盾も「いわば彼自身の中では解決された」かのように考えている人である。ミラー博士には何であろうと自分の願うことを信ずる権利がある。彼の個人的な信仰を疑問に付す必要も意図もない。しかし我々が聞きたいのは、ミラー博士のこの問題についての進化する意見表明が、一貫性を欠くことに対する率直な答弁である。

ミラーの教科書『生物学』の5つの版はすべて、「進化は計画も目的もなしに働く。…進化とはランダムで導かれない(undirected)過程である」と述べていた。ドーヴァー裁判でミラー博士は、厳しく詰問され、この言い方は「科学の領域を超えていると思われる意味と目的についての定義を要求する」ことを認めた。

どうしてこのような文言が彼の本に出てくるのか? 問い詰められて、ミラーは2つの怪しげな説明をした。まず彼は、3版以降は「この本から直ちにそれを削除した」と述べたが、この文言は5つの版すべてに現に残っている。ミラー博士はこの間違いを記憶違いのせいにする権利はあるだろう。しかしもっとある。

ミラー博士はまた、この文言を共著者のJoseph Levineによるものであることにしようとして、「これはジョーが挿入した文章です」と言った。もっともらしく聞こえる。しかしミラー自身の著書『ダーウィンの神を見出す(Finding Darwin’s God)』(ここにはとがめるべき共著者はいない)に、ネオ・ダーウィニズムを説明する同じ文言が見られる――

 *「突然変異のランダムで導かれない過程が、自然選択がそこに働きかけるべき『正しい』種類の変種をつくり出した。」(51頁)
 *「進化のようなランダムで導かれない過程」(102頁)
 *「盲目的でランダムな導かれない進化が、これほど複雑な構造のセット、これほどに見事に一つの目的に奉仕するものを作ることができた。」(137頁)
 *「このランダムで導かれない突然変異の過程と自然選択」(145頁)
 *「進化は自然の過程であり、自然の過程は導かれたものではない。」(244頁)

いったいどうしてミラー博士は、「進化は計画も目的もなしに働く」とか「進化とはランダムで導かれないもの」といった文言を、彼自身の本の中にほとんど同じ文言があるのに、共著者のリーヴァインが書いたことにできるのか? もっと肝心なことだが、どのようにしてミラーは、進化が「ランダム」「盲目的」「導かれない」もので「計画も目的もなしに働く」とする見解を、有神論と和解させるのだろうか? ミラー博士は自分の信じたいことを信ずる完全な権利をもつ。しかしもしそうなら、ミラーは正統カトリック教の内部に位 置することができるだろうか?

最後に、ミラー、リーヴァイン共著の『生物学――生きていることの科学』は1991年版も1994年版も共に、進化論の含む意味についての次のような強烈な一節を含んでいる――

「ダーウィンは、彼の説を受け入れることが哲学的唯物論、すなわち物質がすべての存在するものの元であり、すべての心理的・精神的な現象はその副産物だと信ずるように要求するものであることを知っていた。ダーウィン進化論は目的をもたないだけでなく、心をもたない(heartless, 冷酷な)もの、すなわち自然の厳しさが無慈悲に不適応者を消去していく過程であった。突如として人類は、我々のことなど全く意に介さない世界の中の、単なるもう一つの種に引き下げられた。偉大な人間の心は進化するニューロンの塊以上のものではなくなった。もっとも悪いことに、我々を導く神の計画はなくなった。」

このことに対する説明をもまたミラー博士に聞いてみたいものだ。

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