Evolution News and Views (Discovery Institute)

2008年のトップ科学ストーリー、ダーウィンを去りIDに傾く

By: Casey Luskin
December 24, 2008

2008年初頭、米国科学アカデミーは、その小冊子『科学、進化、そして創造論』において、「進化生物学は現代科学の礎石であったし、現在もそうあり続けている」と言明した。彼らの主張は、あとわずかの2008年についてはうまくいかなかったようである。二つのグループ、Access Research Networkと主要科学誌『サイエンス』が、2008年のトップ科学ニュース・ストーリーと画期的発見のリストを発表している。この二つがトップにあげる画期的発見は、いずれも進化生物学の成果 によるものではない。

『サイエンス』がトップにあげるのは、病気治療に巨大な可能性をもつ発見としての、生きた患者から幹細胞をいかに取り出すかについて科学者の発見した方法である。これは確かにきわめて重要な科学上の飛躍であるが、進化生物学とは何の関係もない。実際その新聞発表によると、「もし科学者が細胞を再プログラムして、もっとこれを正確にコントロールし、効率よく安全なものにできれば、いつか患者が自分自身の健康な細胞を使って治療される日も来るだろう」。ただ留意したいのは、『サイエンス』の考えでは、研究者たちは単に盲目的な導かれない過程を通 じて生じてきたものを「再プログラム」していることになる。実際、『サイエンス』の主論文には「細胞の再プログラミング」という題がついていた。しかし細胞がプログラムされ、さらに再プログラムされ得るということ自体、導かれない非知的な起源を指してはいない。この論文は、科学者たちが、細胞がどうして再プログラミングできるのか、十分に理解していないことを認めてさえいる――「何ダースもの実験室がこの技術を用いてきたが、再プログラムされた細胞の中で何が起こっているかは謎のままである」。『サイエンス』は決してこれを認めないだろうが、彼らのあげる2008年のトップ・ストーリーは、科学者たちが細胞を研究するとき、彼らはあたかも、物的な形をコントロールできるソフトウエアのプログラムと、細胞というハードウエアの出入力を操作しているかのように、それらを扱っているのである。彼らは、自分が十分に理解してさえいないプログラム・システムを「マスター」しようとしている。この分野でなされる進歩は何であれ、細胞をデザインされたものとして扱う科学者たちの成果 であるように思える。

また『サイエンス』のあげる10項目の、2008年に急浮上した画期的発見のいずれも、進化生物学の成果 でないことは注目に値する。この他にあげられている新発見は、太陽系外の惑星の発見、なぜある種の細胞がガンを発するかの理解、水を使って電気を発生させる新しい方法の発見など、さまざまの魅惑的な科学の問題を扱うものだが、進化生物学を扱ったものは一つもない。

Access Research Networkの、2008年トップ10科学ニュース・ストーリーもまた、インテリジェント・デザイン(ID)なしにすぐれた科学研究をすることは次第に難しくなってきており、古い進化の考えは役に立っていないことを示している。ARNのトップ・ニュースは、Altenberg 16の夏の会議で、ここに集まった科学者たちは、「今日ほとんどの活動中の科学者が受け入れ、学校で教えられている進化論は、我々の存在を説明するのに十分でないことを認識する」人々であった。ARNのあげる2008年の他のトップ科学ニュースには、無神論者や不可知論者の中にID擁護派が増えたこと、コンピューターで進化をシミュレートする改良された方法としてのBiologic InstituteによるStylusの発表、鞭毛に発見された分子クラッチ、生物学の主導者たちがリボソームの還元不能の複雑性に驚嘆したこと、などが含まれている。ARNはまた、エンジニアたちが技術を改良するのに自然に倣うbiomimetics(生物模倣)に依存することが、ますます多くなったことをあげている。ARNによれば、「生物模倣というデザインを基礎にした方法論が、手ごたえある結果 を生み出しつつある」。

2009年はダーウィン生誕後200年にあたるので、間違いなくダーウィニストは来年には、ダーウィン進化論の栄光を宣伝する大きな動きを見せるであろう。しかし2008年が判断材料になるとすれば、ネオダーウィニズムなしにすぐれた研究成果 をあげることは十分に可能と思われる。米国科学アカデミーの会員であるPhil Skellが、2005年『サイエンティスト』誌に書いたように――

「ダーウィン進化論にどんな美徳があるにせよ、実験生物学において実りある発見的枠組みを提供することはない。このことは、原子モデルのような発見に導く枠組みとそれを比較してみれば特に明らかである。原子モデルは構造的化学を明らかにし、多くの現実に役立つ新しい分子の合成の進歩に導くものである。こう言ったからといって、ダーウィニズムが虚偽だということにはならない。ただそれは、これこそ現代の実験生物学の礎石だという主張が、理論が現に手ごたえある発見の礎石となっている分野の、ますます多くの科学者から、静かな懐疑をもって迎えられるだろうことを意味する。」

来年の科学的新発見が、ダーウィン進化論の背後にある原理、それともIDの背後にある原理の、どちらを採用する科学者からやってくるか、興味をもって注目していようではないか。

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