Discovery Institute News

防戦一方のダーウィニストたち

Jonathan Witt
Seattle Times
November 21, 2005

 インテリジェント・デザイン理論をめぐる最初の法廷裁判は、年末までに裁定が下ることになり、まずは一段落した。この法的論争に火をつけたのは何であったか? ペンシルヴェニア州ドーヴァー学区では、現代進化論の二週間の授業を行う前に、もし学生が生物の起源についての代替理論である「インテリジェント・デザイン」を知りたければ、学校図書館にある一冊の本を読むことができる、という旨の短い告知を出した。

あれよあれよと言う間に、この学区は、学校の方針が宗教教育に当たると主張するグループによって、法廷に引きずり出されたのである。しかも名を伏せられたこの本が、厳密に科学的証拠に基づいて議論をしており、宗教的権威に訴えたり、デザインの源が何であるかを明確にもしていないにもかかわらず、である。

この訴訟は、現代のダーウィン理論をめぐって増大してきた論争を、押し黙らせようとする一連の試みの、一番新しいものであるにすぎない。

例えば、「ニューヨーク・タイムズ」が最近、ダーウィニズムとIDに関するシリーズ記事を掲載したとき、主要なダーウィニストのウェブサイトは、この新聞を、IDを記事にしたというだけで非難し、その提唱者たちを「中世主義者」「平たい地球論者」「アメリカのタリバン」といった言葉で侮辱している。

ミネソタ大学の生物学者P. Z. Myersは、ダーウィニストは彼らの敵に対して、もっと強硬な手段に訴えるべきであると言っている。「我々の唯一の問題は、我々が十分に戦闘的でない、十分に力強くない、声が大きくない、怒り方が弱い、ということにすぎない」と彼は書いている。「唯一、適切な応答として必要なのは、何らかの形の正義の怒り、多くの頭突き、また教師のある者や、多くの教育委員会のメンバー、膨大な数の軽薄な極右の政治屋どもを、公的に首にし辱めることである。」

今月、NPR(National Public Radio)は、どう見てもP・Z・マイヤーズの作戦ブックから直接出たものらしい振舞いを報道した。

この物語の最も顕著な犠牲者は、Richard Sternberg、進化生物学の二つの博士号をもつ、スミソニアン自然史博物館の発行する学術雑誌の前編集者である。彼はある論文(訳者注―Discovery InstituteのStephen Meyerの論文)を学術審査に出し、その上でこの雑誌に掲載したのだが、それは5億3千万年前の、新しい動物形態の、地質学的に言って突然の出現は、インテリジェント・デザインによって最もよく説明できるということを論じたものである。

合衆国Office of Special Counselの調査によると、スターンバーグの同僚たちは直ちに攻撃を始め、スターンバーグから資料室へのマスターキーと利用手段を取り上げ、彼は本当は科学者ではなかったという噂をまき散らし、そして彼を解雇することによって彼が殉教者のようになるのを望まなかったので、故意に敵対的な仕事の環境を作り出して、彼がスミソニアン博物館にいられないように謀った、というのである。

このNPRの報じた話は、法学教授のGlenn ReynoldsのようなIDを頑固に認めない人々をさえ呆然とさせるもので、彼はこの謀略を「科学界のマッカーシズム」と呼んだのであった。

また今月、カンザス州教育委員会は、現代進化論の強みも弱点も共に学生に教えるという方針を採択した。これにダーウィニストたちは反発し、弱点などない、これは神政国家を作ろうとする策略だと主張した。教えられる弱点というのが、審査付きの主流の科学文献の中で取り上げられているものであるにもかかわらず、である。

彼らの不安の一つの原因は、この理論が大ざっぱな形而上学を土台しているところにあるかもしれない。進化生物学者のA. S. Wilkins も認めるように、「進化というのは不可欠な統一的な理念のようだが、同時に、なくてもいいような理念でもある。」

そして『サイエンティスト』誌9月号で、「科学ナショナル・アカデミー」の会員であるPhilip Skellは、この問題についての広範囲な調査の結果は、ウィルキンズの見方を傍証するものであると論じている。合衆国生物・環境研究局のプログラム・マネージャーである生物学者Roland Hirschは、さらに一歩進んで、ダーウィニズムは一連の不正確な予言をして、後で、結果 に合うようにパラダイムを作り直したものだと述べている。

マイクロプロセッサーや人工衛星などにつながっていく科学的モデルと、何たる大きな隔たりがあることだろう。現代の進化理論はもはや学問の礎石とは言えず、他人の問題に口を出すおせっかい屋のおばさんのようなものである。しかも自分の家での地位については、きわめて不安定な存在である。

のみならず、450人ほどの、今後も増えていくであろう博士号をもつ科学者たちは、公然とダーウィン理論に疑念を表明しており、Louis Finkelstein研究所の最近の統計調査では、医者の中で、人間が全く導くもののない物的な過程によって進化してきたとする、ダーウィニズムの考え方を受け入れている者は、40パーセントだけだという結果が出ている。

このところ益々ダーウィニストの反応は、討論を押しつぶそうとするものになってきた。しかし彼らの試みは、方向が間違っている分だけ効果がないのである。植民地時代のアメリカの指導者たちが、ある本を禁書にしようとすると、人々は争ってそれを買い求めた。それは「ボストン禁書」症候群である。

今日、反対意見の抑圧は、アメリカでは最も成功の見込みのない策略である。ダーウィニストがインテリジェント・デザインの議論を禁止しようとすればするほど、学生や親や一般大衆の好奇心をかきたてることになる。
(ジョナサン・ウィットはDiscovery Institute 上級研究員、共著にA Meaningful World: How the Arts and Science Reveal the Genius of Nature (IVP 2006) がある)

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