裁かれるインテリジェント・デザイン

論説委員会
ワシントン・タイムズ
September 28, 2005

 インテリジェント・デザインが、ペンシルヴェニア州で裁判にかけられるとは不幸なことである。科学理論が発達するためには、つまりそれが正当なものとして受け入れられる前の精査を受けるためには、何十年、時には何百年という年月を要する。性急に受容――あるいは否定――を強要しようとすることは、科学の方法と自由な探究の精神に反するものである。インテリジェント・デザインを口にすることが公立学校で許されるかどうかについて、下級裁判所がどのような裁定を下そうと、論争はおそらく最高裁まで持ち越され、そこで何が科学的で何がそうでないかの決定が求められることになろう。

  ドーヴァー地域の学区が、インテリジェント・デザインをダーウィン進化論に対する代替理論と位 置づける4節からなる「声明」を読むように教師に義務付けたからといって、科学に対しても学生に対しても、いかなる偏りにもならないのは明らかである。IDはまだ揺籃期の段階にある提案であり、公立学校のカリキュラムに場所を占めるに至っていない。いろいろある代替案が教えられていないのは、まさに、支配的な見解に挑戦できる構造になっていないからである。それは代替案が間違っていることを意味するものではない。学生はまず最上の説明を学び、また知られていることを教えられるべきである。その多くの欠陥にもかかわらず、ダーウィン進化論が不動の標準になっている。

  ドーヴァーの11人の親たちが、無神論を世俗的神学として推進するのに熱心なAmerican Civil Liberties Union(アメリカ市民的自由連合 ACLU)の援護を受けて、インテリジェント・デザインは「クリエーショニズムの21世紀版」だという理由で、この学区を告訴したのは驚くに当たらない。1987年に最高裁は、公立学校で創造論を教えることは政教分離を旨とする憲法の体制条項に違反するものと裁断した。あまりにも性急にIDの超自然的前提を解釈した、科学をあまりよく知らぬ 批判者も提唱者も、彼らの政治的または宗教的偏見を露呈しているにすぎない。しかし我々は、主導的なIDのシンクタンクである「ディスカヴァリー・インスティテュート」が、IDを生物の授業に取り入れようとする試みには反対であることに注目している。「ドーヴァー学区が取っているような間違った政策は、政治的な分裂をもたらすだけであり、学者間での、あるいは科学者共同体内部での、IDの長所についての公平で開かれた討論を妨げるものだ」と、インスティテュートは言っている。

 教育委員会に対する現在の、また最高裁によるきたるべき裁定は、効果 的に、インテリジェント・デザイン論者をすべて科学の敵として追放することになるだろう。これは考えうる最悪の結果 である。「我々が推奨しているのは」とインスティテュートは言っている、「教師も学生もダーウィン進化論についてもっと勉強すること、この理論を支持する証拠だけでなく、それに対する科学的批判をもよく勉強することです。」自由な精神の持ち主なら誰しも、これは全く道理をわきまえていると思うであろう。
多くのダーウィニストの主張にもかかわらず、ダーウィンを批判するから、その人はクリエーショニストだということにはならない。彼らの議論はしばしば卑小な個人的攻撃に陥っている。しかし、屈託のない批判を取り入れるかわりに、ドーヴァー学区は頑なに一つの対抗的な提案を推し進め、一人の連邦裁判官による時期尚早の却下へと道を開いてしまった。これは科学の取る道ではない。

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