進化か死か(2)

平和統一NEWS 45号(2012/5月号)
渡辺 久義

 先月ここに書いた問題について、このところほとんど朝から晩までインターネット情報を調べているが、ますます増える地球と宇宙の異常を伝える情報とともに、転換期の意味を解説するユーチューブや文章にあふれかえっている。何かが変わりつつあるとおそらく誰でも直観しているが、その意味について、これだけ多くの人にいっせいに同じことを言われると、我々は信じざるを得ない。
 私が見るのはほとんど英語によるもので、IDが日本では無視されるように、この2012年問題についても、ネット記事は表面的・扇情的なものが多く、その「意味」を問う哲学的日本人は少ない。しかも現象そのものについてさえ我が国では、ほとんど報道されない。日本では唯物論的哲学の上に立つ大学の研究者が一番偉く、彼らが見えないと主張するものは、見えても存在しない。存在しないものを話題にするのは恥ずかしいことで、かつ人心を惑わすことは悪いことだから、日本では無関心が美徳となる。
 しかし知識は知識として心得ておかねばならない。先月読んで下さるようにお願いした「創造デザイン学会」HPに載せた「2012年:時代の転換――進行する歴史サイクルの転換とその分析」という論文にも書いてあるように、これは「大規模で深遠な、物理的・非物理的両面にわたる問題」である。物理的とスピリチュアルの両面をもつということである。せめて物理的な事実だけでももっと報道すべきである。大規模な太陽嵐による電気系統の破壊と電波障害が近いうちに起こるのはほぼ確実なようで、それだけでも「寝耳に水」で慌てるよりは(地震・津波と同じように)準備をしておいた方がよいに決まっている。異変を隠したがるNASAでさえ「生まれて初めての大規模太陽嵐に警戒せよ」と言っている。
 私はここ数年の間に何らかの「激変」が起こると思う。それは歴史のサイクルの転換として最初から定められた避けられないもので、深く「意識」にかかわるもののようである。もちろんこれはインターネット情報から得た知識に基づくものだが、我々自身のあり方が関わっているという結論は間違いないようだ。なぜこれだけ多くの人が真剣になって同じ警鐘を鳴らすのか。彼らは明らかに、申し合わせたり人真似をしているのではない。何ものかが多くの人々の口を借りて警告を発していると考えざるを得ない。彼らが共通して言っているのは、人間や他の生き物が別々に存在していると考えるのは錯覚であり、人間だけでなく、地球も太陽系も銀河系も含めて一つの意識体だということ、これは世界の終わりではなく始まりであり、我々が高度な意識体として生まれ変わるのだから、これを積極的・能動的に受け止めよということである。つまり今起ころうとしているのはrebirth, new reality, awakening, ascension, dimensional shift, evolution, frequency rising, といった意識(=世界)の次元的上昇である。そのために神が、地球の生物をいったん全部滅ぼす必要があると考えるなら、喜んでそれに従うよりほかはない――と私は思う。
 現に地球のpole shift (北極と南極の反転)も可能性としてあり得るというのだから、最悪のシナリオも考えておかなくはならない。私の妻もそうであるが、「そんなどうすることもできないことに備えてみたってしようがないではないの」と言う人たちがあるであろう。これはそうではない。私は命を落とすかもしれない。しかし今まで私を生かしてくれた生命世界が新しく生まれ変わるのに、それが必要なのだと考えれば、少なくとも、無意味に命を奪われると考えて、この世に恨みだけを残して死んでいくことだけは避けられる。私は無意味に死ぬのではない。これはいつかこの欄で、東日本大震災と絡めて紹介した『夜と霧』の著者ヴィクトル・フランクルと同じ立場に身を置くことである。運命には何らかの意味がなければならない、根源者の意志の働きでなければならない。そう考えることによって人は自己を超越することができ、自己の根源と一体化することができる。
 逆に、災害らしいものは何も、あるいはほとんど何も起こらないかもしれない。その可能性もあり得る。ではそうなった場合に、私は無駄なことを考えて損をしたのだろうか? そんなふうに考える人は誰もいないだろう。我々はこの危機に真剣に向き合うことによって、成長し生まれ変わったのである。
 私のよく通る道のみすぼらしい教会に「悔い改めよ、終わりの日は近づいた」という張り紙がしてある。私を含め誰もこんなものに目を留める者はいなかった。しかし今これがにわかに現実味を帯びてきた。今、ユーチューブなどを通じて真剣に警告している人たちは、これまで聖人か高僧でなければ言わなかったようなことを言っているのである。ただ彼らは説教をするのでない。宇宙意識のfrequency(周波数)に変化が起こるのだから、今までのようなエゴや憎しみや傲慢の波長では生きていけなくなると言うのである。要するに、悔い改めない人間や世界は自動的に排除されるということである。

2012年問題参考資料INDEX